ゴミ屋敷の中で

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夏子はゴミ屋敷で埋もれてる。彼氏に尽くし愛想を尽かされて、すっかり無気力になってしまった。 家事全般を怠り、仕事も辞めて毎日魚肉ソーセージと缶チューハイで過ごした。 「お腹、空いたな……」 夏子は服の山から起き上がると、冷蔵庫から缶チューハイと魚肉ソーセージを1つずつ取る。 服達の上に戻ると缶チューハイを半分ほど一気に飲み、魚肉ソーセージを1口かじった。 「やっすい幸せ、やっすい人生……」 「にゃあ」 夏子が人生を悲観していると後ろから猫の鳴き声が聞こえた。 「え?ここマンションの4階なのに……」 振り返ると黒猫が、雑誌タワーの上に座っていた。 夏子が住んでるマンションはペット可だが、夏子も隣の住人も何も飼っていない。 「どこから来たのか知らないけどエサなんてないよ」 夏子はそう言って黒猫を抱き上げるが、黒猫は夏子の腕からすり抜けると服を引き裂き始めた。 「きゃー!何してくれてるの!?高かったのに!」 夏子が布キレと化した服を手にして落ち込む。 この服は彼氏に合わせて買ったもので、フラれてからは1度も着ていない。 「ん?……嘘でしょ!?」 チョロチョロと水音がしたのでそちらを見ると、黒猫が雑誌タワーの上で粗相をしていた。 「はぁ、このままに出来ないな……」 夏子はコンビニへ行ってゴミ袋を買った。 部屋の中を探せばあるがどこかに埋もれているため、買った方が早い。 部屋から出る際、黒猫を追い出そうとしたが逃げ回って部屋が余計に酷くなったので断念した。 「空ってこんな綺麗だったっけ……」 夏子は青空を見て呟くと、胸いっぱいに息を吸い込んだ。
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