ゴミ屋敷の中で

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「決めた!君を飼って見返してやる!」 夏子はビシッと人差し指を黒猫に向けた。 「今から君の名前は(あくた)だ。意味は知らないけど結構いいかも」 夏子は我ながらいい名前だと自画自賛した。 「どんな意味かな?……げ」 夏子は芥の意味を調べてげんなりした。 芥の意味はゴミや塵と出ていたのだ。 「しっくりきたんだし仕方ない……。悪気はないんだよ、芥」 「にゃあん」 芥はどうでもいいと言いたげに鳴いた。 翌日、夏子は本格的に掃除を始めた。 「こうして見ると彼氏のための買い物多いな……」 先程から詰めてるゴミは彼氏好みの服や雑貨が多い。雑誌タワーにしても、彼氏好みのメイクやファッションを学ぶために買った女性向け雑誌や、趣味の本だったりする。 「ふぅ、疲れた……」 昨日買ったゴミ袋を使い切ると、部屋の半分ほど片付いた。 「今日はこれくらいにして買い物行こっかな……」 夏子は唯一綺麗にしていた風呂場へ行き、汗やホコリを流すとカバンを持って外に出た。 銀行でお金を下ろしに行ってゾッとした。 「うわ、マジか……」 会社を辞める時に200万円以上あった貯金は、十数万円になっていた。 家賃も光熱費も全て引落にしていた上に、通帳はしばらく放置していたため、気づけなかった。 夏子は5万円下ろすとかつての上司に電話をかけた。 『もしもし。どうした?片桐』 久しぶりに聞く上司の声に緊張する。 「お久しぶりです、中野さん。勝手に辞めてご迷惑をおかけしてあれなんですけど……」 『戻ってくるか?というか戻ってこい。また後で電話する』 「え……?」 夏子が何か言う前に電話は切られた。
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