ep.2 たまには重い女でもいかがです?

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ep.2 たまには重い女でもいかがです?

9月20日。 日も紅くなる時間帯。 …まだずいぶんと暑い。 俺は町の商店街を歩いてた。 「パーカー着てこなきゃよかった…」 俺が手伝いをしてる「桜乃森大学異能力研究室」。 そこには異能力者、ロストマン達の情報が毎日のように届く。 俺がここを歩いているのはこんなメールが届いたからだった。 _______ はじめまして。 私の妹が、原因不明の病で床にふしております。 お医者様は皆、首をかしげております。 もしかしたら異能力の影響ではないかとおっしゃっていました。 もしよろしければ、お力を貸していただけないでしょうか? 岡田多恵 ____ 商店街を抜け、閑静な住宅街に依頼者の家はあった。 いわゆる高級住宅街というやつだ。 ここら一帯に漂う清潔で落ち着いた雰囲気。 きっと裕福な家庭なのだろうな。 住所の家の前につき、その家の大きさに少し驚く。 俺はインターホンを押す。 ピンポーン チャイムの音も何か上品だ。 「…はい」 インターホン越しに聞こえる声は若い女の子の声だった。 依頼者は確か中年の女性だったと思うけど…。 「桜乃森大学の失慰です。」 「あ、はい…どうぞ。」 ガチャリ 鍵を開ける音と共に出てきたのは、長袖のブラウスにスカート。 制服の女の子だった。 ふわりとしたショートボブに少し垂れ目のぱっちり二重。 かわいい。 家の中に招かれ靴を脱ぐ。 明らかに怪しむようにこちらを見てる。 「…」 向こうとしても、俺みたいな奴は想定外だったようだ。 半袖パーカーにジーンズ、スニーカー。 かなりラフな装いだし、背中には真っ赤なレジャー用のリュックだ。 「…えっと」 疑いの視線に耐えられず、俺は靴を脱ぎながらこう言った。 「…君が岡田さん?」 「いえ…私は沖田かなといいます。岡田…依頼したのは母の姉です…遠方に住んでいるので、私が立ちあいます」 「そうなんだ。高校生かな?驚いたよ。」 「私も…イノさんと言う名前…女性だと思ってました。」 「はは。よく言われる。」 無駄に神秘的な名前だと。 まぁ、名付け親は割と適当につけたんだけど… 「あと、霊媒師みたいな人が来るのだと思っていたので。」 「霊媒師って…」 どうやらかなりインチキ臭い人だと思っていたらしい。 「で、実際の印象はどうよ?」 「なんかダメ男っぽいです。」 「…はは」 場を和ませようと話を振ったつもりだったが、無意味に傷付けられる結果になってしまった。
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