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女子高生怖い。
「母は1階の和室で寝ています。どうぞ…」
「ちなみにお父さんはまだ仕事中なのかな?お金の話をしなきゃいけないんだけど。」
お金の話と言っても報酬の話では無い。
交通費とか雑費。
内容によっては金がかかる場合もあるので最初に話をしておくのだ。
「…その話も私がします。父は先月…交通事故で亡くなってしまいましたので…」
「あ…そうだったんだ…ごめん」
やばい…
どんどんと空気が悪くなっていく。
…
「…なんだこれ。」
和室に入ると、俺の目には異様な光景が飛び込んでくる。
畳の部屋に不釣り合いな大きいベッド。
そこに沖田かなの母親は横になっていた。
そして…その寝ているベッドがまさに異様だった。
ベッドはまるで彼女の重さに耐えきれなくなったように崩れているのだ。
まるで母親の上からデカい鉄球を勢いよく落とした後のように。
言っておくが沖田・母が極端に肥満体形というわけではない。
むしろ沖田かなよりも少し身長が高いくらいだ。
細身の一般的な成人女性の容姿。
彼女の体重にベッドが耐えられなくなったとは考えにくいが…
この光景を見る限りそうとしか考えられなかった。
「母は突然動かなくなりました。」
「…」
「最初は私とおばさんでベッドまで運びました。けれど、だんだん体重が重くなって、今じゃ男のお医者さん二人がかりでも母を持ち上げることが出来ません。」
「体重が重く…」
「最後はベットの方が耐えきれず…こんなことに。」
「…お医者さんは何て?」
「調査次第連絡すると言ってから…連絡はきてません。」
「…触れてみてもいいかな?」
「…はい。」
沖田かなの許可を得て、俺は彼女の母の腕に触れた。
温度は人の肌そのものだったが、感触は固いゴムを触っているような奇妙な感覚だ。
細胞ひとつひとつが重くなったような…
手首から脈を測ろうかと思ったが何も感じない…。
おいおい…死んじゃいないだろうな。
「どうなんですか?」
「…」
「かなり…悪いんですか?」
「いや…全然わからん。」
「…」
沖田かなは肩でため息をするように、明らかに失望したような顔をした。
やめてくれよそんな顔…泣きたくなるよ。
「食事はどうしてるの?その…排泄とか…」
「点滴が使えないので食事は食べさせてます。流動食ばかりですが…排泄に関しては答えたくありません。」
「……わかった。」
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