ep.2 たまには重い女でもいかがです?

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沖田かなは明らかに嫌な顔をした。 深く聞かない事にしよう。 とにかく食事と排泄をしているなら死んではないだろう。 俺と沖田かなはリビングへ移り、今回の状況について語る事にした。 まずは俺と言う人間と、世の中にある異形の能力について… 「俺はロストマンだ。」 「ロストマン…特殊能力者ですよね?海外のニュースとかでたまに見ます。」 「日本人には少ないからね。今回の君のお母さんの件も、ロストマンの影響を受けた可能性は大きい。」 「母が、ロストマンになったという事ですか…?」 「それはわからない。誰かに何らかの能力をかけられた可能性もある。」 「…ママが…」 さっきは「母」と呼んでいたと思ったけど… 普段はママと呼んでるらしい。かわいい。 …失礼。失言だ。不謹慎だ。 「『大切なモノを失って、ひとつ人智を超えた者』なんて言葉がある。能力を手に入れた人間はそれ相応の対価を失う。だからロストマン(失った者)と呼ばれてる。」 「対価…」 真剣なまなざしで、彼女は俺を見てる。 彼女の中で思う事があったのだろう。 「さっき、お父さんを亡くしたって言ってたよね?」 「はい…」 「ロストマンの能力は、失ったモノに影響される。君のお母さんは、お父さんを失ったことで『意識を失くし、体重を重くする』能力を持ったんじゃないかと思ってる」 似たようなケースはたくさん見た事がある。 大切な人が死んでしまったり、動けなくなったり… そうして発現したロストマンの能力は、同じように何かを『動けなくさせる』モノが多い。 「そんな…」 「まぁ仮説だけどね。現状を見ただけでは確定できない。あくまで仮説。」 「元に…戻すことはできるんですか?」 「アレが君のお母さんの能力なら…方法は3つある。」 「教えてください…。」 「一つは、『失ったモノ』を取り戻すこと」 「それって…」 「あぁ、君のお父さんを生き返らせることなんて出来ないからね。これは不可能だ。」 「…」 「二つ目は、君のお母さんが自分で能力を解除する。」 「できるんですか…?そんなこと」 「自分で解除出来るタイプの能力なら可能だ。けどこれも確実な方法とは言えない。」 本人が苦しいのであれば自分で解除してるはず。 つまり『自分で解除できない能力』か『条件を満たさなければ解除できない能力』…。 あるいは本人が『解除する気が無い』。
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