ep.2 たまには重い女でもいかがです?

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「そしてもう一つは、俺の能力を使う。」 「…イノさんの…」 「俺もロストマンなんだ。ロストマンから能力を奪う事が出来る。そういう能力を持ってる。」 「…能力を奪う…。」 もっと喜ぶと思ったけれど… イマイチ想像付かないのか。 結構凄い能力なんだけれど… 「…お母さんからも能力を奪えるって事ですね?」 「能力者の名前と…能力名があればそれも必要になるけどね。だけど、出来ればやりたくは無い。」 「どういうことですか?」 「俺の能力で力を失ったロストマンは…さらに何かを失う。」 「それって…」 「何を失うかは俺にもわからない。」 「…そんな」 「解決方法が別にあるならやめたほうがいい。まずは話を聞きたい。君のお母さんに起きた物語を。」 和室にベッド。 よく考えればそもそも変な光景だ。 それがあまり気にならないのは、変わり果てたベッドのせいだろう。 俺は部屋を閉めきり、皿にお香を乗せて火をつける。 それらをベッドの周りに置いていく。 「この煙。何なんですか。お香?」 「ロストマンの力の精度を下げる効果があるんだ。効き目があるかはわからないけどね。」 ダストというエネルギーがある。 空気中に存在し、ロストマンはそれを使って能力を発動させる。 能力を発動すると光を放つ性質があり、ロストマンにとってのガソリンだ。 このお香『ピケ』は火を付けるとダストの活動を抑える煙を発し、ロストマンの能力の精度を下げる効果があった。 しかし今回の場合は気休めにしかならないだろう。 『ピケ』はあくまでダストの活動を抑えるもの。 すでに残された結果を和らげる事は出来ない。 … 出されたのは苦手なブラックコーヒーだった。 「うお!おいしいなこのコーヒー!!こんなの美味しいの飲んだことないなぁ!」 「…」 「へ…部屋もきれいに片付いてるし!いい奥さんになれるよ!」 「…」 話をするために案内された部屋は沖田かなの部屋だった。 可愛らしい服がかけてあるクローゼット。 momoという少し前話題になっていたシンガーソングライターのCD。 女子高生らしい部屋。 しかし下着が平気で干してあったりして、俺はあきらかに動揺してた。 それを隠そうと変な感じになっているのは言うまでもないだろう。 「あの、私は何をお話すればいいのでしょうか。」 「えっと…父さんが亡くなってから今日まで、ざっくり話してもらえる?」 「はい。」
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