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沖田かなの父親が亡くなったのは約2カ月前のことだった。
死因は心臓病。家族にとってはあまりにも突然の死だったという。
沖田かなの両親は自他共に認める仲良し夫婦で、その仲良しっぷりは娘から見てもあきれるほどであったらしい。
「2が月前に父が死んで、お葬式が終わったころから、母はどんどんやつれていきました。」
「やつれて?」
「私には見せないようにしていましたが、食事もとらずに1日中ぼーっとしていたり…。」
「…」
「私が声をかけると低い声で「大丈夫。心配かけてごめんね」と言うばかりで…」
珍しい話じゃないな。
夫の死のショックから…能力が発現した。
「私はとても心配でした。お母さんも…どこかに行ってしまうような気がして。」
「怖かったんだ?」
「はい。学校に行っている間も…ずっと母の事が気がかりでした。」
「お母さんがあの状態になったのはいつごろ?」
「だいたい1カ月前くらい前の金曜です。朝はいつも母が部屋まで起こしにきてくれるんですけど、その日は私の方が先に起きました。」
「それで?」
「母はまだ寝ていたので…そのまま起こさず学校へ向かいました。学校から帰っても…母はずっと寝たままでした。」
「それから目を覚ましていないんだ?」
「…はい。」
沖田かなが最初に頼ったのが、母の妹である岡田さん。
つまり俺の今回の依頼者だ。
その後医者が何回か来たらしいが結局原因もわからず、現在にいたる。
「お母さんの体重が増え始めたのはいつごろ?」
「母が起きなくなった日…お医者様が母を動かそうとしましたが、そのときすでに男性3人がかりで運んでいました。」
男3人がかり…
その時すでに母親の体重は100キロ近くになっていたって事だ。
壊れたベットはいわゆる夫婦用のダブルサイズ。
あのベットが壊れたとなると…
今の体重は少なくても200キロ以上。
時間の経過によって体重を重くする能力?
目が覚めないし…昏睡状態にもなってる。
うーん…
情報が少なすぎてよくわからん。
「お父さんが亡くなってからお母さんについて何か気になることは無かったかい?どんな事でもいい。」
「さっきお話した以外は…むしろ家事もいつも以上にやっていましたし…私が受験生なのもあって夜食も毎日作ってくれていました。」
「…そっか。」
あんな能力が発現するくらいだ。
旦那さんの死は強いショックだったろう…
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