ep.2 たまには重い女でもいかがです?

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彼女からの突然の申し入れについ「喜んで。」と答えそうになったが… 「…え?」 と返すのが精いっぱいだった。 これって…つまり…そういうこと!?!?!? 「母の事も心配ですし…」 「…いや…いやいやいや…さすがにまずいでしょう!」 「明日の朝ごはんも…私作ります。」 どうやら俺の鮮やかな仕事っぷりに惚れてしまったようだ…。 自覚はなかったが…俺は意外に罪な男らしい。 「いや、君の気持ちは嬉しいよ。だけどそれは良くない。君のことを想って言っているんだよ?」 「私は平気です。イノさんが良ければ…明日一日のお食事も全部用意します。『ここにいて』ください」 かわいい… まるで光っているかのように見える… 俺は正直動揺していたが、沖田かなは妙に落ち着いてる。 目をこすりながらコーヒーを飲んでる。 「…なんだか目がチカチカします。」 「疲れてるんじゃないかな?今日は…もう寝たら?」 「いえ…イノさんをお呼びしたのに…私だけ寝るわけには…」 まいった。 ここはビシッと言わなければ…!男として! 「ででででも…あ、明日がっこうでしょぉう?」 ビシッと言わねばと思ったが… 情けないくらい噛んでしまった。 プレッシャーに弱いのだ。俺。 「…いいんです…私…明日は学校休みます。…友達も…いないんで。」 「…」 その後くだらない会話をして俺は自宅へ帰ることになる。 会話の内容は…本当にくだらない話だ。 沖田かなは 「久しぶりにこんな他愛のない話をしました。」 と言っていった。 両親がこんな事になったんだ。 たまにはこんなひとときがあっていい。 沖田かなはとても可愛い。 あんな子に言い寄られるなんて俺も大した男じゃないか! …なんて家に帰ってからもずっと俺はノンキにしてた。 男って女子高生ってブランドだけでウキウキしちゃう生き物なんです。 俺もそんな例からは漏れず、なんとなく浮かれていたんだ。 次の日の朝、歯を磨きながらなんとなく乗った体重計が… [119キロ]なんて馬鹿げた数字を表示するまでは… … 沖田かなの家に行った日から2日後。 俺は朝一で沖田かなに連絡をとり、家に行く約束をとりつけた。 一日空いたのは能力の効果を確かめるため。 そして今日が沖田かなの学校が休みだからだ。 2日経っても身体の重さは変わらず、とにかく移動が大変だった。 駅の階段は足が重くて疲れるし、エレベーターではブザーが鳴る。
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