ep.2 たまには重い女でもいかがです?

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俺は2人の邪魔をしないようこっそり帰る準備を整えて、そっと出ていく。 しかしそこは格好つかない俺。 あっさりとかなちゃんにバレて、彼女を玄関まで出させてしまった。 「イノさん!」 一度バレないようにしていた手前、振り向くのが恥ずかしい。 「…一応ダストの精度を下げるお香は置いていくよ。必要ないと思うけどね。」 「本当にありがとうございました。」 「うん。まぁ…仲良くね。」 「…はい。本当にありがとうございます。」 「あぁ。それじゃあね。」 きっと父親がいなくても… この母娘ならやっていけるさ。 羨ましいな。 俺は沖田家を後にする。 ガチャリ さて…今日は何を聴いて帰ろうか。 「イノさん待ってください!」 俺は沖田家の前で立ち止まりリュックを開けて音楽プレイヤーを探していた。 なんていうか…つくづく俺はカッコ悪い。 「これから私、イノさんのお手伝いしますから!」 「…は?」 「助手探してるって言ってましたよね!」 「…え」 「それじゃあまた連絡します!」 沖田かなはそういうとバタンとドアを閉めてしまった。 はは…面白い子だな。 なんていうか女の子って強いな… よく考えると俺の身の回りの女って皆強いやつばっかりだ… まぁクールだった沖田かながあんなに笑顔になったんだし。 何か言うのも野暮な気がする。 今日はとりあえずこれで全部よしとしよう。 No2.沖田かな 能力名:イエロー・スナッグル(命名・執筆:失慰イノ) 種別:観察系 指定効果型 失ったモノ:父 能力者本人が「どこかに行かないで欲しい」と願った人物が対象となる。 『ここにいて』という言葉を発する事で能力が発動し、『ごめんね』と発する事で解除される。 対象となった人物は身体が重くなり、想いが大きいほどその力は強くなる。 大きすぎると、身体を重くするだけでなく相手の意識を奪う危険性もある。 自分でコントロールできるようになったようなので、とりあえず放置。 たぶん平気。
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