ep.3 たまにはミルクでもいかがです?

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大体は合コンで知り合った男とのくだらないじゃれあいだ。 でも携帯じゃないってことは… …いつもの男関連じゃないな。 「はい。『桜乃森大学異能力研究室』の化乃です。…えぇ…はい。…えぇ。……えぇ。」 麻衣さんが電話にでると、かなちゃんが俺に聞く。 「イノさんって世界中を旅してたんですよね。」 「うん。ロストマンの知り合いがいてさ、その2人と一緒にね。」 「色んな国に行ったんですよね?」 「うん…」 あんまりいい思い出はない。 あの2人も今はどこで何してんだか… ぼうっと3年前のことについて想いをはせていると 麻衣さんが電話を終えたようだ 「イノ、お仕事よ。今から向かってくれる?学校の車使っていいから。」 この表情、きっと良くない案件だ。 「わかりました」 「わたしもいきます!」 かなちゃんが食い気味に言ってきた。 なんとなく嫌な予感がした俺は、 「かなちゃん…今回はちょっと…」 となんとなく断ろうとしたが… 「お願いします。」 その表情に俺は決意めいたものを感じ、俺は結局彼女を連れていく事にした。 … 今回の依頼は埼玉県警からだった。 警察が動くということはつまり…事件である。 かなちゃんには 「絶対に俺の指示に従ってね」 と強く言っておいた。 俺とかなちゃんは『桜乃森大学』のダサいロゴが入った車に乗り込む。 改めて事件の内容を整理する。 ことの発端は昨日、埼玉県警に一件の通報が入った。 とあるアパートの管理人からで 「3カ月前から家賃を滞納している人がいる。インターホンを鳴らしても反応が無い。」 という内容だったそうだ。 今日の朝、警官2名が住人への注意をするため直接家へ向かう。 インターホンなどの呼びかけに応じず、あきらめようとした時。 「…?」 中から赤ちゃんの泣き声が聞こえた。 嫌な予感がした警官2名は、管理人から預かった鍵を使い中へ入る。 「なんなんだこれ…」 部屋の中は異常な悪臭が漂っており、奥へ進む事を躊躇するほどだった。 短い廊下の先にワンルームの部屋があり、その先から赤ちゃんの泣き声が聞こえる。 恐る恐る奥へ進んでいった警官は、そこで異様な光景を目の当たりにする。 部屋の中の物が、まるでアイスクリームのように白くドロドロに溶けていたのだ。 壁や床、写真立てから冷蔵庫に至るまでその白いドロドロとした物で溢れていたのだ。
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