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女性の身体は半透明で光を帯びている。
俺には彼女が何なのかすぐにわかった。
「かなちゃん。こっち来て中をみてごらん。」
「え?…はい。」
かなちゃんと場所を入れ替わる。
中をのぞくとかなちゃんも女性を見て驚いている様子だ。
「誰ですか…あれ?」
保坂さんや警官が俺たちの動向をみているが、ポカンとした様子だ。
「あれはロストマンが能力で作りだした『ダスト能力体』と呼ばれるものだ。身体が光ってるのがわかるだろ?」
「はい…」
「ダストで作られてるからロストマンにしか見えない。あれが原因みたいだね。」
光を帯びた裸の女性。
あの赤ちゃんが作り出したのだろうか…
わからないことだらけだけど、今やるべきことは理解できた。
「状況はだいたいわかりました。」
「本当ですか!」
保坂さんと警官たちは少し安堵の表情を浮かべる。
状況が改善されるかはまだわからない。
「説明する前に調べてほしい事があります。」
「なんでしょうか?」
「白いドロドロの成分と似ているものがないか調べて欲しいんです。」
「似ているもの?…わかりました。」
保坂さんの横にいた警官は白いドロドロの成分表を持ってどこかへ向かった。
「かなちゃん、俺の車の中にお香が積んである。あるだけ持ってきてくれる?」
「はい!」
俺はカンが優れているとは言えない。
今回もどうか外れていて欲しい。
このカンがもし当たっているのなら…
今回は…誰も望まない、納得できない結果に終わってしまうから。
…
「これはロストマンの能力の精度を落とすことができます。」
保坂さんと警官に部屋の中にいる『ダスト能力体』の話を済ませる。
かなちゃんが持ってきたお香を警官に配る。
警官たちはすぐにお香に火をつける。
部屋の入り口と換気口にお香を置き、あおいで煙を中へ送り込む。
「これだけの量のお香を一気に炊けば、1時間もしないうちに効果はでます。」
「能力が消えるということですか?」
「いえ…あくまで性能を下げるだけです。」
お香『ピケ』はロストマンのエネルギーであるダストの活動を抑える効果がある。
今回はきっと有効なはずだ。
能力が目に見えるという点が大きい。
ダストの活動を抑えればあの形を保ってはいられないハズだ。
「失慰さん。白い物質の成分がわかりました。」
白いドロドロの成分を調べに行った警察が戻ってきた。
何枚かの紙を見せてくれる。
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