ep.3 たまにはミルクでもいかがです?

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「はい。注射器にさされたものは無機物であろうと白い物質に変えられてしまうようです。あの赤ちゃんは、それを食べて今日まで生きてきたんでしょう。」 「…しかし…成分はたしかに母乳ですが、こんなの食べ物とは呼べない。」 保坂さんの言う事はもっともだ。 「おそらくこの白い物質は、あの赤ちゃんの食べ物のイメージから出来ています。あの子にとって…これは食べ物なんです…」 そう… あの赤ちゃんはまだ… この世界にどれだけ美味しい食べ物が溢れているのかさえも知らない。 あの子の世界にこの白いドロドロ意外に食べ物は無い。 こんな能力が発現したということは… 「俺はロストマンの力を奪う能力を持っています。」 「…」 「それを使えばあの赤ちゃんから能力を奪う事ができるでしょう。」 「イノさん…でも…」 かなちゃんが俺の腕をつかむ。 「イノさんの能力を使われた人は…何かを失うって…」 「…あぁ。」 「あの子はまだ生まれて3カ月くらいしか経ってないんですよね?ロストマンになったって事は、もうすでに大切な何かを失ったってことですよね!?」 「…あぁ。」 「そんな子にまた何か失わせることになるんですよ!?」 「そういうことになる。」 「イノさん。何か、私の時みたいに解決する方法は無いんですか?」 「かなちゃん。言ったハズだよ。ロストマンの世界ってのは綺麗なことばかりじゃないって。」 「…イノさん…」 「警官も死んでるんだ。プラグイン・ベイビーは自動的にあの子を守ってると考えていい。保護するだけでもおそらく犠牲者は1人や2人じゃ済まない。」 「…」 「今回は…俺の能力を使わざるを得ない。」 俺だって…使いたくは無い。 けど…あんな小さい子がこれ以上… こんな場所にいてはいけない。 「保坂さん。俺の能力には、ロストマンの名前が必要になります。あの子の名前はわかりますか?」 「いえ…出生届も出されていないので…」 「わかりました。中に入って探してみます。」 「イノさん。」 「かなちゃんはここにいて。絶対に中に入っちゃ駄目だよ。」 「…はい」 外側からガムテープで密閉した空間を作る。 玄関の投函口やベランダ側の窓もしっかりと密閉する。 お香の煙はは30分ほどで部屋を満たした。 …  ばあーあ 「凄い血…はぁ…は…産ん…じゃった…お湯…これ…切っちゃっていいんだよね…」  あーうーあいきゃっ
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