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新居
日曜日の朝になった。僕たちは、朝食を済ませて程よい時間が来ると会場へ出かけた。そして、住宅街のような会場にあるモデルハウスを見学した。僕は、リビングや寝室の居心地が良ければいい。嫁さんは、キッチンやバスルームへ入って使い勝手や快適性をチェックした。嫁さんの背中におぶった息子は、スヤスヤ寝ている。
嫁さんのチェックが済んだら、僕たちは事務所へ商談に行った。殆ど嫁さん目線の住宅を建てる契約を結ぶと帰宅した。嫁さんは満足だが、僕はこれからローン地獄が始まる。奨学金を返済する義務が2人ともないが、これから何が起きるかわからない。僕は覚悟した。
起工式を終えた予定地では、少しずつ家の形ができてくる。僕たちは、時々建築現場へ見に行った。ようやく家が完成すると、僕たちは荷物を引越し屋さんに依頼して新居へ運んでもらった。真新しい家に入った僕たちは、リビングで簡単なパーティーをして、疲れると寝室のベッドの中に入った。
次の日からは、この家は嫁さんが仕切ることになった。名義上の使用人は僕ではあるが、僕は殆ど仕事に追われるために寝る時しか家にいない。
掃除・洗濯・調理は殆ど機械がしてくれる。機械にできない事は、息子のお守りか町内会の役員ぐらいなものである。僕の給料は殆どローンと生活費に消える。ボーナスもローンの返済に充てる。
風呂は、嫁さんと息子が先に入って、僕は入浴剤入りの終い湯に浸かる。ギリギリの生活を送っているので、嫁さんはポイント付きショッピングだの、懸賞付きショッピングだのといろいろ工夫をしている。
息子が一歳を過ぎると、嫁さんは妊娠した。集金係と化した僕は、悪阻で苦しむ嫁さんのそばにいてやれない。申し訳ない気持ちで家を空ける僕には彼女の体調はよくわからない。臨月に入ると、息子を連れて里帰りした。僕は、独身時代に戻ったような感じで1人飯・風呂を済ませて、広々としたダブルベッドの中に入った。
出産した嫁さんは、息子と赤ん坊を連れて帰宅した。今度も男の子である。嫁さんの鶴の一言で決まった名前を出生届に記入して区役所へ提出した。
4人家族になって、僕は嫁さんと息子たちのためにパーティーをした。乳飲み子の次男以外は、料理を食べてくつろいだ。長男のお下がりのベビーベッドの中で眠る次男以外は、リビングで団欒した。その後みんなで寝室に入って寝た。
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