家族の成長

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家族の成長

そのうちに息子たちは小学生になった。子供たちはそれぞれの部屋で寝る。一時幼い息子と一緒に寝てたダブルベッドは、実質的に嫁さんが一人で使ってるようなものだ。僕は、出張や社内旅行で家に帰らない事がある。 出張先や旅行先で大浴場に浸かって、美味い物を食べて布団の中で寝る。自分だけで温泉に浸かるのは申し訳ないので、土産を買って嫁さんに渡す。 なりたくもない管理職に就き、朝帰りなんてザラである。会議では、社長・部長の前で議題を進める。ストレスが溜まる僕は、行きどころがない。誰かに八つ当たりすると、自分がやられる。若い子よりも足場がない僕は、仲間と安酒を飲みながら酔った勢いでモヤモヤを吐き出してから帰宅する。 嫁さんが寝てるベッドへ行くよりも、リビングのソファーで横になる方が手っ取り早い。朝起きて、ご飯の支度をする嫁さんは、料理をテーブルの上に並べてから僕を起こす。僕は、朝ごはんを食べると、洗面所で顔を洗い、乱れた身なりを直して出勤する。 一方で嫁さんは、懸賞に当選した。それは温泉旅行である。僕は出張で家にいないので、嫁さんが息子たちを連れて出かけた。一泊二日の旅は息子たちには大満足だった。遊園地のアトラクションではしゃいで、夕方になると大浴場へ入り、地元の食材を使った会席をいただき、翌日は、お土産を買いに行き集合場所へ戻ったようだ。 普段は、嫁さんが選んだお風呂に入浴剤を入れて浸かるのだが、たまに遠出したい息子たちには良い思い出になった。いつの間にか家電製品が入れ替わっているのも、懸賞に当選したからだろう。 いろんな人から叱られる割にはそんなに稼げない僕は、家でも嫁さんには頭が上がらないのである。
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