58人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
今度はグラスのなかから氷をとって、ジャクヤに投げつけた。
「シスコンいうな。でも、まあ、姉ちゃんのためなら、命をかけて戦う覚悟はあるよ。男ってそういうものだろ。なにより守りたいのは、家族だからな」
テルが真剣な顔でいう。
「日乃元の国とか、同期の仲間でなく、家族なのか」
ふざけ散らしていたクニの表情が変わった。テルに負けないほど真顔になる。
「ああ、すまないが、おれの場合は家族が一番だ。おまえらも、進駐軍も、日乃元も二番手だよ」
ジャクヤが口をはさむ。
「ぼくの場合は、自分が一番やな。同期も、軍も、国も二番手なのは、クニと変わらへんね」
テルがぼやいた。
「おまえにはきいてない」
最初のコメントを投稿しよう!