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「瑠璃ちゃん、ママは?」
「みどりくんと一緒に寝てる。呼んでも起きないの。瑠璃、しーちゃんとおじちゃんと一緒にここで寝る!」
「ごめんな、瑠璃。おじちゃん、しーちゃんと一緒だといろんな意味で盛り上がっちゃって一睡もできないんだよ」
「瑠璃ちゃんに変なこと言わないで!」
小さな体で私にしがみついてくる瑠璃ちゃんが可愛くてたまらなくて、寝汗で少し湿った髪の毛に頬ずりする。
「瑠璃ちゃん、おじちゃんはもうお家に帰らなきゃいけない時間だから、一緒にお見送りしようか?」
「……マジかよ」
膝を広げてしゃがみ込んだまま、蒼さんは深々と溜息をついた。
瑠璃ちゃんを抱いたまま三人で一階に下りると、リビングのソファで藍君が真っ赤な顔で鼾をかいていた。
玄関を出て、家の前に停めている蒼さんのスカイラインの横に立つ頃には、瑠璃ちゃんは再び寝息を立てていた。
「瑠璃を藍の隣に寝かせて、もう一回お前の部屋で仕切り直しっていう展開は、」
「ありません」
「くそっ、何だったんだよ、さっきのエロ可愛さは」
「ごめんね?」
「どれだけ俺の惚れた弱みにつけ込めば気が済むの?」
怒っている、というよりは、心底困った顔で、蒼さんは深く溜息をつく。
再会してから一年と七カ月、何度となく危機的な状況はあったけれど、今回が一番あぶなかった。
つい雰囲気に呑まれてしまった。
パパ、ママ、お義母さん……ごめんなさい。
「……その困った顔、やめろ。ムラムラする」
「あと五カ月だから……もうちょっとだけ、我慢して?」
「言っとくけど、式が済んだら待った無しだからな。多分後悔するよ? 俺をこんなに待たせたこと」
「怖いこと言わないで……」
怖気づく私に、蒼さんは真顔で「いやマジだから」と言い切る。
待ち遠しいだけだった日に、大きな不安要素が追加された。
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