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ふと、腹の虫が鳴いて私を現実に引き戻す。
「腹が減ったな。」
花より団子とはよく言ったものだ。
土手沿いを歩いた私は、すっかり空腹になっていた。
ヨイショと掛け声をかけて上体を起こした私は
コンビニの袋から鮭のおにぎりを口へ放り込んで腹を満たすと、
続けざまにワンカップとビーフジャーキーの袋を取り出して酌を始めた。
「ぷはぁ……。平日の昼間に飲む花見酒はうまい。」
いささか歪んだ愉悦とは思うが、
花見時を逃してはそうも行かない。
私は自分の選択を非常に満足していた。
ほろ酔いの世界に吹く柔らかい風が
桃色の花びらを運ぶ。
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