愛される自信を君にあげる

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 忙しかったせいで空腹は感じてなかったのに、急にお腹が鳴ったらどうしようと突然不安になった。  タイミングが悪くそういう時絶対あたしのお腹は音を立てる。  本当に、お願い今だけはやめて。  キュルキュル──。  シンとした廊下に響き渡ったお腹の音は、いつもよりも遥かに大きい。  恥ずかしい。  死にたいぐらい恥ずかしい。  どうして、よりにもよってこんなに人気のない場所で話しかけるの。 「ふはっ、お腹空いた? 俺も昼まだだから、一緒にどう?」 「へ、へ……っ!?」  三条課長が眩しいぐらいの笑顔を向けてくるから、一瞬にして恥ずかしさなんか飛んでいった。  恥ずかしいより、あたしに今笑いかけてくれてる。  麗じゃなくて、あたしの目を見て話してくれてるんだって、感動で泣きそうだった。  あれ……今彼はなんて言った?  もし三条課長があたしの恋人だったらなんて、いつもの妄想で聞いた空耳かもしれない。  ほかの誰か、実はあたしの後ろに麗がいて「行きます」と言ったら「キミに言ったんじゃないよ」そんなオチが待ってたり。 「白崎さん?」 「ひゃいっ!」 「ひゃ?」 「いやっ、ち、ちが……っ、イヤじゃなくてっ! そうじゃなくてっ!」  絶対呆れられてる。バカな子だって思われてる。     
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