愛される自信を君にあげる

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 恋人のフリをするのに、連絡先も知らないんじゃおかしい。  もしかして、ものすごく感じ悪かった……かもしれない。  〝今、スマホ持ってない〟はナンパされて断る時の常套句だと、麗が言っていたような気がする。  あたしは今持っていないから、正直にそう答えただけだけど、三条課長からしたら番号を教えたくないって感じたのかもしれない。  なんだか、もう……ますます自己嫌悪に陥りそうだ。  どうして、好きな人相手だとうまく話せないんだろう。  誰に対しても、明るく社交的な麗みたいになりたかった。  もらったメモをなくさないようにポケットに入れて、重苦しいため息が漏れた。  電話をかけるのって、何時までなら迷惑にならないのかな。  もっと早くに仕事を終えられるはずだったのに、飛び込みで式場見学の申し込みが一件入ってしまった。  会社帰りに急いで来た二人だった。  ウェディングプランナーの仕事は、お客様の予定にこちらが合わせなければならない。  どうしても夜でなければ二人で来訪することができないというお客様も少なからずいる。     
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