愛される自信を君にあげる

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愛される自信を君にあげる

プロローグ 「俺と結婚してほしい」  そんな、少女漫画のヒロインのような展開を夢見ていた。  誰にでも結婚に憧れはある。  たとえば、お金持ちのタワーマンション住まいだとか、誰もが振り返る美形だとか。  大好きでずっと片想いしていた憧れの相手だとか。  そんな相手があたしのことを好きだと言ってくれたら、心が弾んで涙がでるほどに嬉しい。  けれど、世の中には分不相応というものが存在していて、あたし──白崎笑留(しらさきえる)が夢見る相手は、完全に別世界の住人だ。  世の中のヒエラルキーのトップにいるような男性で、同じ会社であっても気安く話をできる相手ではない。  モデルですかと問いたくなるほどに長身で、百五十五センチのあたしとの身長差は三十センチを超えている。  この国の男性の平均身長は一七〇。彼のように一八〇を超えていれば、歩いているだけで人目を引く。それが中性的な美しい顔立ちをしていれば尚のこと。  彼の父方の祖母にフランスの血が入っているらしいが、それも頷けるほどに高い鼻梁に、色素の薄いサラサラの髪、長い睫毛。精巧に作られた人形みたいに透き通る肌をしている。     
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