愛される自信を君にあげる

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 口ではそんなことを言いながら、麗と三条課長が結婚したら嫌だと、あたしから三条課長を取らないでって思ってる。 「嘘つきだなぁ。えーる、たまにはさワガママになったっていいと思うよ? 今あんたが抱いてる感情は、誰にでもあるんだから……別に恥ずかしいことじゃないよ?」 「でも……あたしと課長じゃ、どう見たって釣り合わないし」 「もう、いつまでそうやって卑屈になってんの? 笑留は自分が思ってるよりずっと可愛いんだから。たまたま今まで誰にも気づかれなかっただけよ?」  麗に言われたところで、あたしって可愛いんだと自信なんか持てるはずがない。  だって、麗は本当に誰が見たって綺麗。  あたしみたいに、昼にラーメンを楽しみになんかしないし、プロポーションを保つために炭水化物の量は制限してる。  身長は二十センチ近く離れているのに体重は多分あたしと同じぐらいだ。  それに化粧が苦手でほとんどすっぴんに近いあたしと違って、いつもメイクはバッチリ。  麗が近くにいるから、あたしは誰にも気づかれないって自分を慰めてる。  彼女のせいじゃないのに、そう思うことで仕方ないって楽になれるからだ。 「で、デートとかもうしたの?」 「デート……って、するもんなの?」     
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