愛される自信を君にあげる

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 付き合ってたらするかもしれないが、恋人のフリをするだけなのにわざわざデートをする必要があるのかな。 「笑留、何言ってんの? もう、ほんとにこの子は……」 「麗? なに……ちょっと……」  見るからに肩を落とされて、またおかしなことでも言ってしまっただろうかと慌てる。 「わかった……あたしが連絡しとくから、笑留は英臣からの連絡待ってて」 「へっ?」 「あんた、拗らせすぎだわ……ほんと」  ついにはため息までつかれて、なんだか申し訳ない。  そうこう言ううちに互いに仕事に追われる時間になり、慌ただしく休憩室を後にした。  デート、か……。  ウェディングプランナーという仕事をしているくせに、今まで一度も男性とデートなんかしたことがない。  キスだって、三条課長が初めてだ。  恋人のフリじゃなかったら、どういうところに行っていただろう。  頭に浮かぶのは、あたしと三条課長が並んで夜景を見ている姿。  すごく素敵だとは思うけど、ピッタリとハマらない。  たとえば、三条課長のとなりにいるのが麗だったら、想像すればまるでドラマや映画のワンシーンのようにハマるのだ。  ダメだなぁ。  麗にも言われたけど、こうやって卑屈なところがダメなんだ。  もっと自信を持ちたい、そう思っていても幼い頃からの性格はなかなか変えられない。     
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