愛される自信を君にあげる

30/92
前へ
/93ページ
次へ
「そっか、でも俺は……キミのことを全部ひっくるめて可愛いと思うよ」  三条課長は肯定も否定もしなかった。  ただ、何度も可愛いと言ってくれる。  あたしだけのオアシスみたい。  三条課長の言葉が、乾いた砂に一滴一滴と水が落ちるみたいに吸い込まれていく。 「こんなに卑屈でも、ですか?」 「言い換えれば謙虚だ」 「謙虚……」 「うん。笑留は麗に憧れてる部分あるよね。でも、キミはキミのままでいいんじゃない? 笑留といるとこっちも自然でいられるし、安心する。そういうの仕事でもお客様にちゃんと伝わってるんじゃないかな? それに、俺……麗みたいな肉食女子、ちょっと苦手だしね」 「麗は肉食女子っぽいですけど……男性が自然に寄ってくるんですよ?」  自ら男を漁るようなマネはしない、というかそんな必要がない。  ずっと三条課長と付き合っているとばかり思っていたから、考えたこともなかったが、麗の付き合っている相手はどういうタイプなんだろう。  疑問が顔にでていたのか、三条課長がフッと笑いをこぼす。 「あいつね、今の恋人……振られては追いかけて、何度も告白してやっと付き合えたの。これ、俺が言ったって内緒ね、多分プライドが許さないから」 「だから、肉食女子……」     
/93ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4557人が本棚に入れています
本棚に追加