愛される自信を君にあげる

33/92
前へ
/93ページ
次へ
 助手席に座らせてもらって、車はゆったりとしたスピードで発進した。  視線は前を向いたままの三条課長の口元はいたずらっぽく緩められている。  からかわれているとわかっていても、いちいち反応してしまう。 「お、襲うんですか?」 「ん~隙あらば襲いたい気持ちはあるけどね。笑留となら家でも退屈しないかなって思っただけだよ」 「そういうこと言われると、特別みたいで……ドキドキします」 「好きな人なんだから、特別だよ。他の人をマンションに呼んだことはないから」 「前に付き合ってた人、もですか?」  こういうことを聞いたらダメだって、口に出してから後悔した。  重い女だと思われる。 「うん。誰も。笑留が初めてだね。あ、麗もマンションにはきたことないよ。実家にはあるけど。笑留は社会人になってから一人暮らし?」 「はい。三条課長も、ですか?」 「俺は大学から。進路のことで父親と喧嘩してさ。親が持ってる不動産の内の一つが今住んでるマンションなんだけど、しょっちゅう隠れ家にしてたんだよね。で、その時も実家飛び出して、マンション行って……なんかそのまま住み着いちゃった」 「三条課長でも、喧嘩とかするんですね……」     
/93ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4557人が本棚に入れています
本棚に追加