愛される自信を君にあげる

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「タワーマンションって始めて入りました……」  まずエレベーターが上に辿り着くまでのスピードに驚いた。憧れはあったけれど、テレビで紹介されている芸能人の住まいはどこか現実離れしていた。  本当にこんなマンションに住んでいる人が実在するのだと、驚きを隠せない。 「わぁ……すごい……」  靴を脱いで玄関を上がってから、感動のあまりため息が漏れてばかりだ。  まず、廊下を抜けた先にあるリビングまでが遠いし、開放的な大きい窓からは都会の街並みが一望できる。まるでジオラマを見ているようだ。 「ただ、広いだけって感じもするけどね。その辺座っててくれる? お茶淹れてくるから」 「あ、じゃあ手伝います」  L字型のソファーやダイニングセット、パーティーが開ける規模の部屋では、広過ぎてどこに座ればいいかわからず、あたしはいそいそとキッチンへと立った。  あまり使われた形跡がないキッチンはアイランド式で、モデルルームのように生活感がない。 「料理とかは、しないんですか?」 「ほとんど外食かな。大学の頃は作ってたけど、今は帰るのが遅くて食材腐らせちゃうんだよね。笑留は帰ってから作ってるの?」     
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