愛される自信を君にあげる

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「何でそんなに緊張するかな……あ、そうだ。じゃあ、練習しよっか」  練習?  何の? 「笑留が、俺に触られることに慣れる練習。はい、ココおいで?」  三条課長がココと手を置いたのは、あろうことか膝の上。  もちろん、あたしのではない。  三条課長の膝の上だ。 「そ、そんなのっ」 「早くこないとキスするよ」 「うひゃぁ」  え、どうしよう。  イヤじゃないんだけど。  でも、キスを期待してるって思われるのも恥ずかしくて、あたしは慌てて三条課長の膝の上にまたがった。 「はい、よくできました」  あ、と気づいた時には目の前に三条課長の顔があった。  チュッと湿った音を立てながら、額に触れた唇が離れていく。  唇、じゃないんだ──。  ちょっとだけ残念に思っていると、腰に回された手に身体を引き寄せられて密着度が上がる。 「ち、ちかっ……近いですっ」 「慣れてよ」 「慣れませんっ。こんな格好いい人毎日見たって、慣れるわけないじゃないですか」 「笑留に格好いいって言われるの嬉しいね。襲っていい?」 「ダ、ダメっ、です……」  背中をスルッと撫でられて、得体の知れない感覚に襲われる。  なんだろう。  寒気ってわけじゃないんだけど、身体の中心がジンって熱くなった。     
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