愛される自信を君にあげる

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 インターフォンの通話を消すと、三条課長は疲れたようにため息をついた。  なんてタイミングの悪さだろう。  多分あたしが今ここにいるのは、凄くまずい気がする。  麗のご両親も、三条課長のご両親も二人の結婚には賛成だと言う。  麗にはほかに好きな人がいて、一応三条課長もあたしのことを好きでいてくれているから、それを説明すればいいだけ……のはずだけど、そういうのって前もって、段取りがあるよね。  こうして、突然お互い気まずい状態で会うなんて思ってもみなかった。 「笑留、ごめんね。ちゃんと紹介するタイミングとかも考えてたんだけど、あの人突然くるから」 「あ、あの……あたし、帰った方がいいですか?」 「このまま紹介してもいい? 彼女が来てるって言っちゃったし」 「こ、心の準備がっ……」 「ははっ、だよね。笑留は普通にしてていいよ。別に話しちゃいけなこととかもないよ。俺たちが恋人同士っていうのは、本当のことだからね」  だから、堂々としてていいんだと背中を押された。  三条課長の言葉は不思議だ。  あたしに、元気と力をくれる  さっきとは違う音で、再度インターフォンが鳴る。  多分、一階ロビーからの呼び出し音と分けているためだろう。  今のは、部屋の前に着いた時に鳴る音だ。     
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