愛される自信を君にあげる

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「笑留、置いてけぼりでごめんね。麗の父親はさ、明治時代から続く旧華族の直径なんだよ。閨閥(けいばつ)の名残なのか麗の恋人なんかにも口うるさく言ってくるんだ。たまたま幼なじみの俺がさ、歳も近くて家柄も良くてってことで目をつけられたわけ」 「麗と、結婚……しない、ですよね?」 「しないよ。したってうまくいくはずないって、お互いにわかってるしね」 「そうだね。英臣にその気がなければ、秀征もしつこくは言ってこないだろうけど、麗ちゃんの恋人のことを調べるぐらいはしてそうだ。ああ、笑留ちゃん安心していいよ。私も妻も英臣の結婚についてうるさく言うつもりはないからね。会社の跡を継いでトップに立ってくれるだけで十分だよ」  そっか、やっぱり三条課長は後を継ぐんだ。  ますます遠い存在になりそうで、さっきまでの甘く密かな時間が幻みたいに思えてくる。 「笑留? 聞いてた? 凹むところじゃないでしょ。むしろ喜ぶところだよ」 「へっ?」 「俺と笑留が結婚したら祝福してくれるみたいだよ」 「結婚……」  三条課長と結婚?  まさか、あたしが──?  フリ、じゃなくて? 「英臣、お前振られるんじゃないか? 笑留ちゃん、お前と結婚する気ないみたいだぞ」 「え、えええっ!?」  三条専務がニヤリと口角を上げて笑う。  冗談とも本気ともつかない言い方で、どう答えていいのか困る。     
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