愛される自信を君にあげる

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「麗はまたそんなこと言って……結局優しい三条(さんじょう)課長を付き合わせたくせに。いくら幼なじみって言ったって、二十八歳の男の人が特大パンケーキ食べについてきてくれたりしないよ?」 「わかってるわよ~英臣が優しいことぐらい。でも、英臣の愚痴言えるの笑留ぐらいなんだから許して」  たしかにそれは一理ある。  会社からほど近いイタリアンレストランで、店内が騒ついているからこそできる話だ。これがもし社内であったならばと考えると恐ろしい。  麗は周りから三条英臣課長の特別な相手として認知されているからまだいい。ただのモブであるあたしならば、たちまち孤立してしまうだろう。  それが大げさでないぐらい、三条課長人気はものすごかった。  誰に対しても優しく温厚で、仕事は正確無比。  父親は重役の一人であることから将来の代表取締役だと囁かれている。見た目はまるで異国の王子様、黄金色の艶のある髪に長い睫毛、それに薄茶色の瞳はところかまわず人目を引く。  あたしだって、憧れないわけじゃない。麗とよく一緒にいることで、一言二言会話することがある。その度に、頬がぽぅっと染まってしまうぐらいには胸が高鳴るし、麗から聞く三条課長の話を羨望の感情を隠しながら聞くのは情けない。  けど、勘違いしたらダメ。     
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