愛される自信を君にあげる

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 結婚式場で働いている以上、あれだけ目立つ二人がモデルに選ばれることはおかしくないし、今までなかった方が不思議なぐらいだ。  二人が恋人だというのは社員公認となっているが、二人は肯定も否定もしていない。  もちろん勝手な噂を否定するために、わざわざプライベートをさらけ出す必要がないからだ。  なのに、黒い感情が胸の中にモヤモヤとくすぶり始める。  図々しいにもほどがある。  三条課長の隣に立つのは、あたしでありたいなんて。三条課長と麗が幼馴染であることなんて周知の事実で、たとえほかに恋人がいようとこういった行事に白羽の矢が立つのは仕方ないことだ。 「笑留って、滝川さんと仲よかったよね? どうなの? 本当に結婚間近とか聞いてないの?」 「うん……わかんない、けど」  だって、本当に三条課長と付き合ってるのはあたし。  そう言いたいのに、どうしたって言えるはずもない。  釣り合わないことなんて初めからわかってる。  それでも、あの人の隣にいたいって思ったんだから。     
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