愛される自信を君にあげる

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「でも、三条課長はやっぱりああいう美人がタイプかぁって、残念な気持ちもあるのよね……別にあたしはさ、王子様系男子にそんなに興味ないんだけどさ。ほら、三条課長に恋してる女の子いっぱいいるじゃない? それこそ、しょっちゅううちと契約してる派遣会社のスタッフに告白されてるって言うのに、御曹司とお嬢様で結婚したら意外性の一つもないわよねぇ」 「うん……」  あたしも当たり前のように、お似合いの二人だと思っていたからわかる。 「三条家って、一族が大き過ぎてお嫁さんになったらめっちゃ大変そうでしょ? その辺滝川さんなら、三条家と並ぶあの滝川財閥のお嬢様だし、やっぱり収まるところに収まるようにできてるんだなぁって思うんだけど。女の子はさ、シンデレラストーリーに憧れるもんなのよ」 「十分、麗ならシンデレラじゃない?」 「そういう意味じゃなくて。まさかって相手と実は隠れて付き合ってたとかさ! そしたら、三条課長って外見だけじゃなくて、ちゃんと性格で見てるんだ~羨ましいってなるじゃない?」 「そう、なのかな?」  じゃあ、その相手があたしであっても、薫はお似合いだと思ってくれるのかな。現実はきっとそうじゃない。どうしてあの子なの、そう囁かれるに決まっている。 「まあ、現実にシンデレラストーリーなんて、そうそうあるもんじゃないけどねぇ」 「うん、だよね」  シンデレラストーリーなんて存在しない。  いつか、この幸せな日にも終わりがきてしまうのだろうか。  スマートフォンに何件かの着信が残っていた。     
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