愛される自信を君にあげる

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「今までもそういった打診はあったけど、目立つのが嫌で断ってきた。今回ももちろん断るつもり。けど、断る前に全社員にすでに通達がいってて、今日秀征さん……麗の父親から連絡がきたんだ」  麗のお父さんが、うちの会社となんの関係があるんだろう。  どうしても、模擬挙式に麗をモデルとして使いたかったのだろうか。  麗ほどの美人ならわざわざお父さんが出てこなくとも、広報部から直接打診がありそうなものだ。 「連絡って?」 「披露宴当日に会場に入ってもらうスタッフ、うちが取引してる派遣会社は麗の父親が持ってる会社なんだ。それに、演出や司会の人材も滝川グループの会社の一つだ。今回の模擬挙式引き受けないと、今後の取引どうなるかわからないと脅しをかけてきた」 「え……脅し……?」  あたしにだってわかる。  もしも取引を中止されたら大変なことになるって。  うちの会社は、いくつかの派遣会社や芸能事務所から、実績ある司会者やエンターテイナーを派遣してもらっている。  麗のお父さんが圧力をかけていたとしてたら、明日予定している披露宴すらうちはまともに行えなくなってしまうかもしれない。  料理を運ぶスタッフや、司会者、出演を予定しているマジシャン。その人たちが披露宴当日にキャンセルを申し出たら。 「麗のお父さんは、そんなに英臣さんと麗を結婚させたいんですか」     
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