4559人が本棚に入れています
本棚に追加
「多分、俺って言うより……麗が付き合ってる相手が問題なんだ。麗の恋人は滝川プロダクションに所属してる俳優だから……それもまだまだ知名度のない、ね。今回のことは壮大な親子喧嘩だよ」
まったく迷惑な話だ……とは思えない。
三条課長のことだし、麗は大事な友達だ。
今日は仕事がバタバタしていて顔を合わせていないが、麗は大丈夫だろうか。
「英臣さんが模擬挙式にでれば……麗のお父さんは納得するんですか?」
「根本的な問題は、麗がちゃんと話し合わないとどうにもならないね。秀征さんは外堀から固めようとしてるんだろうけど、その思惑に乗るつもりはないし。笑留、ごめんね。こういうことに、キミを巻き込みたくはなかった」
「隠されるより、巻き込んでくれた方が……嬉しいです」
「ね、笑留……このまま行くと俺のマンションなんだけど、今日は覚悟してうちに泊まってくれる? この間の続き、したい」
三条課長に囁くように言われた言葉の意味を、こんな時だけ正確に理解してしまった。
ムズムズと落ち着かない。
くすぐったくて、甘い……でもそれがイヤじゃなくて、あたしは三条課長の手をキュッと握り返した。
雰囲気に流されるがまま来てしまったことを今更後悔する。
だって、覚悟ってどうすればいいの?
え、待って。
こういう時って、普通シャワーを浴びるのだろうか。
最初のコメントを投稿しよう!