愛される自信を君にあげる

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 この間は流れであれやこれやとしてしまったから、何も考えずにいられたけれど、今日は一体どうしたらいいのだろう。  部屋に上がる前から、その手のことを囁かれた場合、自分からシャワーを浴びさせてくださいと言うべきだろうか。  それに、お風呂あがった後、きっちり服は着るものなのか。  タオルを巻いて出たら、期待しているみたいで恥ずかしいし。  麗がその手の話をするのを、まだ早いからと逃げて聞かなかったあたしが悪い。  ちゃんと、詳しく聞いておけばよかった。 「なんか、めちゃくちゃ緊張してるね」  リビングでピクリとも動かなくなったあたしの背中を、ツゥっと三条課長が爪で引っ掻いた。 「ひゃぁっ!」 「あははっ! だから、そのひゃぁって返事なに……もう、ほんと可愛いなぁ」  くすぐったのはそっちじゃないかと、頬を膨らませる。 「だって……男の人の家にくるのだって、慣れてないんですから。あんまりからかわないでください」 「からかってるはずないでしょ? 嬉しくて堪らないんだって。男の家に来ること慣れてなくてよかったって安心してる」 「こんな、みっともなくてもですか?」  二十二にもなるのに、男の人に抱きしめられることも、キスも三条課長が教えてくれた。     
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