愛される自信を君にあげる

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 荒く吐き出される三条課長の息が、耳から脳内に甘い響きを持って伝わる。  溶けてなくなりそうなほど心地よい波の中に揺蕩いながら、あたしは長い時間翻弄され続けた。  気づいた時には、空は明るく白んでいた。  カーテンの隙間から太陽の光が差し込み、フローリングにまるで海の中のような模様を映し出す。  綺麗だなんて思ったのは一瞬で、あまりの身体の気怠さに思わず眉を寄せる。  腰のあたりにも痛みを感じて寝返りを打つと、真横に驚くほどの美形がいた。  うわぁ~どうしよう。  身体の怠さがどこかに飛んでいった。  まつ毛長いし、至近距離で見ても毛穴の一つも見つからない。  いつもは、こんなにじっくりと顔を見る機会なんてない。  多分見せてって言えば見せてくれると思うけど、恥ずかしいし女の子のセリフにしては、大分はしたない。  今日みたいな日にしかきっと堪能できない。  きっとこの先何度見たって慣れないだろう。  精巧に作られた人形のように整った顔。伏せられた目元に生えた長いまつ毛。薄く開いた唇から吐かれる息すらどこか艶めいて聞こえる。  ずっと眺めていたい……けれど。 「英臣さん、起きてください。遅刻しちゃいます」  軽く三条課長の肩を叩いても、穏やかな寝息が聞こえてくるばかり。     
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