愛される自信を君にあげる

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「起きてくれないとキスしますよ~なんて……っ、んん~」  寝ているとばかり思っていたのに、グイッと頭を引き寄せられて口づけられる。  もしかして狸寝入り? 「キスしてくれたら起きるよ」  少し掠れた低い声が、昨夜の行為を思い起こさせてしまう。 「もうしてるじゃないですかっ」 「おはよ……朝から寝顔を見られると、さすがに照れるんだけど」  寝顔を散々堪能していたことはバレているらしく、唇を軽く舐められた。  朝から甘いひとときに、あたしは幸せ過ぎて身悶えてしまう。 「ひゃぁぁ」  お互いに身を包むものは何も着てなくて、触れ合った場所から体温が伝わる。  また、身体に甘い疼きが起こりそうだ。  三条課長が念仏を唱えてるって言ってた意味が、今ようやく理解できた。  昨夜の情事を思い出しそうになるのを、ぶんぶんと首を振って必死に抑え込む。 「こら、叫びたいのは俺だよ。寝顔って恥ずかしいでしょ」 「めっちゃくちゃ格好いい寝顔でした……」 「何その堪能しきった顔。まあ、喜んでくれて何よりです」  ギュッと抱きしめられて、ますます肌と肌が密着する。  昨夜みたいに部屋は暗くないんですから、これ以上は無理です。     
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