愛される自信を君にあげる

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 もしかしたらもう次の挙式の準備に入っているのかもしれない。  今日は夜までみっちりと披露宴が入っているし、後片付けの時には会えるかもしれないと諦めかけて踵を返そうとした時、どこかから小さな物音が聞こえた。  エレベーターホールを挟んで休憩室の反対側、柱が影になっている一角に誰かいるようだ。  そっと近づいてみると、話し声が聞こえる。 「……ば、よかった」  それが麗のものだとわかり、よかったと胸をなでおろす。  話の邪魔をするのは悪いけど譲ってもらおうと、曲がり角に足を進めた瞬間。 「あたし……やっぱり英臣と結婚した方がうまくいくのかな……」  小さいながらもはっきりとそう聞こえた。  数メートル先に見える麗は肩を震わせていて、傍らに三条課長の姿がある。  あたしは、息を潜めて呆然と立ち尽くす。  小さい頃から兄妹みたいに過ごしてきた二人だ。  悲しんでいる麗を慰めるのは、三条課長の役目なのだろう。  でも──。 「もし、あたしが結婚してって言ったら……してくれる?」  隣に立っている三条課長の手が、麗の背中を優しく摩る。  しゃくりあげるように泣く麗が、三条課長の胸の中に顔を埋める。  ギュッと胸が締めつけられた。     
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