愛される自信を君にあげる

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 ただ、何度かもう少し笑顔をとフロアマネージャーに注意され、三条課長の痛ましげな視線を感じた。  スマートフォンが何度も着信を知らせたが、電源を切って鞄にしまう。  一人きりの家に帰りたくなくて、明日が休みなのをいいことにあたしは久し振りに実家の門を叩いた。 「あら、笑留っ? まったくあなたって子は、ぜーんぜん連絡よこさないと思ったら急に来るんだもの。ご飯はちゃんと食べてるの? 来るって連絡くれれば、あなたの好きなご飯作っておいたのに」  パジャマ姿のお母さんがあたしの姿に驚いた顔を見せる。  電車で一時間とそう遠くはないのに、もう一年近くは帰ってなかった。たまにはご飯食べに顔を見せなさいと言われても、仕事が忙しいと避け続けていた。  お母さんに会うと、どうしてもあの言葉ばかり思い出してしまうから。それなのに、どうしても今日は一人でいたくなかった。 「お父さんは?」 「今日は日曜日でしょ。明日仕事早いからってもう寝てるわよ」  夜十一時を過ぎた時間帯にもう寝ている人もいるのだと、当たり前のことに気づかされる。  十時過ぎに夕食を摂るのが日常の笑留にとってみれば、身体は疲れていてもまだ宵の口だ。  朝はそう早くに行かなくていい場合も多いからゆっくりできるが、世間とのズレは否めない。     
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