愛される自信を君にあげる

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「前にね……小学校の頃、一回だけお母さんに〝お父さんに似てたらよかった〟って言われたことあるの、覚えてる?」 「え……お父さんに似てたら? そんなことあったかしら……ああ、小学校……もしかしたら、五年生頃のこと?」  お母さんが覚えていたことに驚きながらも、あたしは複雑な思いで話を進めた。 「うん、多分」 「そういえば……そうね、あったわね。子育てしてて、ほんと初めてってぐらい、悔しかったのよね」  お母さんはあたしの向かい側に座ると、急須からお茶を注いで両手を温めるように湯呑みを持った。  昔を懐かしむように目を細めて、あたしに複雑そうな笑みを見せる。 「悔しいって?」 「覚えてない? いつも仲良くしてたさやかちゃん」  覚えている。  むしろ忘れるわけがない。  あたしは引っ込み思案で、さやかちゃん以外友達と言える存在はいなかった。  小心者で誰かに積極的に話しかけることもできない子だった。  休み時間も朝も帰りも、六年間ずっと近くに住んでいるさやかちゃんと一緒に過ごした。  中学に入ってすぐに彼女は家の都合で引っ越してしまったから、その後連絡は途絶えてしまったけれど、何をするのも一緒だった思い出がある。 「覚えてるけど……」     
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