愛される自信を君にあげる

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「すごく活発で、おっとりしてる笑留とは対照的な女の子だったわ。一度だけちょっと揉めたことがあったんだけど……」  そう言われて思いを巡らせると、頭に浮かんだのはペンケースの話。  さやかちゃんの机の上に置いてあるペンケースが、床に落ちて壊れてしまったことがあったんだ。  あたしの身体があたったんじゃなかったけど、他の女の子が笑留ちゃんが落としたって言ったことで犯人はあたしになった。  違うって言いたかったけど、さやかちゃんにも謝ってよって言われて、諦めてしまった。  たくさんの人に責められて辛かった。  でもクラス内で揉めるのも嫌だったし、注目されるのが恥ずかしかった。  あたしが謝って済むのならそれが一番いいって思った。  けど、やっぱり家に帰って悔しくて、お母さんにだけは言ったんだ。  本当はあたしじゃないのにって。 「私も昔からそういうところあったから、笑留の気持ちは理解できた。けど、自分のことなら平気なのに、あなたが泣きそうになりながら大丈夫って我慢してるところ見てたら……どうして、大きな声でその時に違うって言わなかったのって悔しかった。あなたは何も悪くないのにって。あたしに性格似ちゃったから……お父さんみたいに意志の強い性格だったらこんな辛い思いさせなかったのにってね」  そんなことだったのか。     
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