愛される自信を君にあげる

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「はぁっ? 何言って」 「うわぁ、あたし何気に今超いいこと思いついた! 憧れの〝三条課長〟と結婚できたら嬉しいんでしょ? 笑留、言質は取ったからね!」  ビシッと人差し指を突き立てた麗が、満面の笑みを浮かべて瞳を輝かせた。憧れてる、なんて言ったことないのに。こういう表情をする麗には、嫌な予感しかしない。 「言質って……そんな大げさな」 「大げさじゃないわよっ! 少なくとも、あたしと英臣にとっては!」 「だからなんなの?」 「笑留ってば鈍いなぁ……だからさ、笑留が英臣と付き合ってるフリしてくれれば、英臣の方から婚約断らせることできるじゃない!? ノリノリなのはうちの親だし、英臣に恋人がいるって知ってまで婚約押し通そうとはしないもの」  麗は一体何を言っているんだろう。  嫌になる……とまではいかなくとも、麗が自分とは違う人種だと感じるのはこういう時だ。今まで、きっと思い通りにならなかったことなんて、一度もないのだろうなと考えてしまう。  あの人の隣になんて立てるわけない。麗と比べて劣等感ばかりの自分が嫌になるけど、それぐらいお似合いの二人だから。     
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