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だから、自信を持ちなさい。
背中を押されているようだ。
でも、もう頑張ってもどうにもならないんだけどね。
「笑留。今日はどうして突然来る気になったの?」
「わかんない。自分でもどうにもならないこと……お母さんのせいにしたかったのかも……」
あたしがお父さんに似てたら。
そんなこと考えたところで、未来が変わっていた可能性は限りなく低い。
「また何もしないうちに諦めてるんじゃないの? やるだけやってダメだったら後悔なんてしない。でもあなたはまだ一歩を踏み出してもいない。だからそんな風に後ろ髪を引かれる思いでいるんじゃない? まあ、何があったかは知らないけど」
悔しいって泣いてた小学五年生のあたし。
同じような顔をしてるわよってお母さんが言った。
あたしは、どうしたいんだろう。
麗は大事な友達だ。
幸せになって欲しいって思ってる。
三条課長と──?
麗が三条課長と結婚することを望んだら、あたしは諦めるしかない。
違う。そんなことはない。
だって、あたしはまだ……三条課長に何も聞いてない。
好きだって、可愛いってあたしに安心と自信をくれたあの言葉は嘘じゃない。
彼のことを信じたい。
「お母さん……あたしね、好きな人がいるの」
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