愛される自信を君にあげる

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「そう。楽しそうでよかったわ」 「うん。王子様みたいに格好良くて、あたしにはもったいないぐらいの人だけど……いつか、お父さんとお母さんみたいになれたらいいな」 「笑留ならきっと大丈夫。今日はこっちに泊まりなさいよ? こんな時間に女の子が外歩いちゃダメ」 「わかってます。お風呂入って寝るね。あ……スマホの充電切ったままだ」  何度も電話をくれたのは麗か三条課長だろうか。  もしも三条課長が麗と結婚すると決めたなら、あたしは笑っておめでとうございますって言おう。  まだあたしにもチャンスがあるなら、諦めない。  スマートフォンの電源を入れると、留守番電話の通知が届いていた。  麗と、三条課長から。  大丈夫。覚悟はできてる。 「笑留。明日の朝ごはん、何がいい?」 「ん~カツ丼?」 「えぇっ?」 「ふふっ、冗談だよ。いつもどおりでいいから。おやすみ、お母さん」  電源を入れていると落ち着かなくて、あたしは留守電を聞かずにもう一度スマートフォンの電源を切った。  ゆっくりお風呂に入って、明日の朝折り返し電話をかけよう。 十  見上げれば、青く澄んだ春の空が広がっている。  まだ幾分か冬の冷たい空気を残した早朝に、あたしはアパートへと戻った。     
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