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あたしから三条課長に電話をするのは初めてのこと。
呼び出し音が鳴る間、口の中がカラカラに乾いてペットボトルから水を飲んだ。
飲み込んだと同時に通話が繋がり、慌てたような三条課長の声が聞こえる。
『笑留っ?』
「おはようございます……あの、今日ってお仕事ですか?」
『いや、休み取った。昨日キミの家に行ったら、いないみたいだったから……今日絶対捕まえてやるって思って。今は家? 昨日どこに行ってたの?』
「え、と……昨日は実家に。今帰りました」
『ちょっと待ってて』
それだけ言うと、通話が切られた。
あの、あたし用があって電話したんですけど、そう言いたくとも電話の相手はもういない。
待ってて、ということはまたかかってくるんだろう。
もしかしたら、タイミングが悪かったのかもしれない。
「はぁ……なんだかなぁ」
電話を待つ間、家事でもしようかと立ち上がるが、いつ鳴るとも知れないスマートフォンが気になり、手につかない。
仕方なく、テーブルの上に置いたスマートフォンをただジッと見つめていた。
すると、部屋のインターフォンが来客を告げる。
「こんな早くに、誰だろ」
少し怖いような気がして、ドアスコープから外を見る。
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