愛される自信を君にあげる

85/92
前へ
/93ページ
次へ
「結婚って、好き合ってる人たちだけがするものだと思ってました」 「滝川家は時代錯誤もいいところだと俺も思うけど……苦労させたくないって親心もあるんだろうね」  あたしは親になったことがないからわからないが、お母さんも言っていた。  自分のことなら平気なのに、あたしが辛いのは我慢できないって。  俳優の卵である男性と結婚すれば、きっと麗は苦労するだろうって、そんな生活はさせたくないって思いが、麗のお父さんにもあったのだろうか。 「実際、俺たちみたいな家だと、金目当てに近づいてくる人間も多い。秀征さんはそれも危惧したんだと思う」  大変な世界だ。  ただ、好きだという気持ちだけじゃ恋人にもなれないなんて。 「お見合い、どうなったんですか?」 「麗もだいぶ参ってたけど大丈夫。ちゃんと恩返し、しておいたよ」 「恩返し? あ……」  あたしたちが一緒に居られたのは、麗のおかげなんだ。     
/93ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4574人が本棚に入れています
本棚に追加