竜を求めて

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   最初は勿論、竜に乗る事が仕事である竜騎士を目指そうと思っていた。というか今も思っているのだが、翼のある竜に乗るには免許が必要で、匙加減による年齢制限が存在する。  女性で竜に乗りたがる者はごく一部しか居ないらしい、居ない訳ではない。女性にも数少ない竜マニアが居る。  そんな彼女達の免許取得平均年齢は16歳だと言う。あと、アンナは八歳、つまり八年間。そんなに待てたら、死んだ魚の腐ったような目は今生でしていなかっただろう。  なので、騎士学校に入ろうと思っていた。勿論、 騎士として必要な教育を主とする学科である『騎士科』ではなく、竜騎士に必要な教育が行われる『竜騎科』へ。  騎士学校では、未成年と成人での学習時間が異なる。未成年の場合は七年間で、成人では三年間とされていた。  なので、九歳になる来年度から入学すれば、卒業と同時に騎竜免許試験を受けられる算段だった。  だったのだが……両親から反対された。それはもう、猛反対だった。  騎士学校に通う=将来は血生臭い職種に就く、という事なので、可愛い一人娘をそんな学校には通わせたくはなかった。騎士にしろ傭兵にしろ冒険者にしろ、戦う職業で血を見るのは当たり前である。  そんな所に行かせるなら、家計には優しくないが貴族学校に入れて、良い殿方と出会う機会を作らせてやりたい。アンナの容姿は、平民どころか貴族でさえ顔負けの可憐さと華麗さを持ち合わせているのだから、ご令嬢達を差し置いて貴族のボンボン共を落とすことも出来るだろう、と両親は思っている。  まあ、もしもアンナが求婚されるような事があれば、相手の男を半ば反射的に物理的に落とし掛かるだろうが……。  今のところアンナの精神は前世寄り、つまりは精神面は男性。前世では、ホモでもゲイでもないので、男性はお断りだ。  今後の成長で、分泌される女性ホルモンが増えていけば、精神に影響が出てくるだろうが……今は無理だ。絶対に。   
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