竜を求めて

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   しかし、両親に反対された程度で諦めるアンナではない。勿論、学費を払うのは両親なので騎士学校への入学は、この時点では見送ったのだが。  竜を求める、いや空を求めるアンナを止めることは不可能。  騎士学校に行けないなら、竜に関わる仕事である竜師になるっと言い出したのだ。  無論、これにも両親は反対の意見を出したのだが、竜騎士よりは安全な仕事であると思われるし、何より娘が初めて深い興味を示したモノ。そして、初めて言われた我が儘。  結局、彼女の両親はリビングで転げ回りながら両手両足をバタバタさせて駄々をこねる娘に折れる事になったのだ。  娘の第一次反抗期に若干の喜びを覚える両親をよそに、アンナはしてやったり顔。本物の幼女はそんな顔しない。というか、出来ない。  両親からの許可を勝ち取ったアンナ。しかし、八歳の幼女を雇うところ等あるのだろうか? という疑問が浮かぶ。  現代の地球なら、八歳で職業に就く事は難しい。しかし、ここは異世界で労働者への社会的福祉が重要視されるはじめる時代でもない。  つまり、能力さえあれば雇ってもらう事は可能だ。  竜師に必要な能力。それは、体力と膂力と冷静さだ。本来の八歳児には何れもまだ身に付いていないものであり。そう、本来なら……。  まあ転生者であるアンナには、所謂神様から持ったチート能力、というモノは存在しない。そもそも、転生するに時に神様との邂逅などしていない。彼女は特別な存在からの干渉無しに、前世から培ってきた才能や収集してきた情報を受け継いだっという特異な存在。  故に、人外の身体能力は持ち合わせていない。 あるのは、気力と冷静さ、そして空への渇望。  その三つの要素が、足りていない体力と膂力を補填する。勿論、精神的な話ではなく、異世界らしい魔法の力で。
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