竜を求めて

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   この世界には地球とは全く異なる力の法則が存在する。それがファンタジーお馴染みの、魔法の力だ。  万人……というか生物に関わらず、この世界に存在する全ての物質には“魔素”という力が宿る。簡単に、原子構造を一つに魔素がある、と考えて頂ければいい。  この魔素とは世界に充満する力であり、この世界の構造に必要不可欠なモノである。  そして、この魔素はそれ単体では何の効力も発揮出来ない微弱な力。しかし、集まれば話は変わってくる。  集まった魔素は、その力の性質を変化させて物質どころか、この世界の理にも作用をもたらす力へと変貌する。その力をこの世界の人々は“魔力”と呼ぶ。  この魔力を扱う術と、その現象を表す言葉が“魔法”なのだ。  さて、この世界の生物はその魔力を活用できるように進化してきた。勿論、ほぼ全ての種が無意識的にしか魔法を扱えないし、その力も世界の理をねじ曲げる程ではない。  生物本来の力のみで、最も魔力量が多く魔法の力が強いのは竜種だと言われている。ようするに竜が火を吹いたり、巨体で空を飛んだりするのは全て魔法なのた。  それはさておき、勿論人間にも魔力が宿り、魔法を扱う事が出来る。  しかし、人間本来の生物の力では、その他の野生生物に劣る。全生物最弱という訳ではないが、順位を付けるとすれば、半分よりも下だ。  だが、人間というモノは考えて進化する生き物である。故に、人類は魔力と魔法の法則を調べた。地球の科学者の変わりに、魔術師や魔導師と呼ばれる者達が台頭したのだ。  太古の時代から続く彼らの活躍により、この世界の人類は魔法によって文明を育んでいる。  今までに、数多の魔法が作られ受け継がれてきま。時には失われ、時には別の形へと進化しながら。  そんな魔法の中には、身体能力を増幅・強化するモノも存在する。  その強化魔法を、アンナは習得したのだ。魔法使いとしては入門の生活魔法と呼ばれる初歩的な魔法の習得と合わせて、掛かった時間は三ヶ月。  これは異例の学習速度であった。現代日本で例えるなら、小中学校で習う義務教育と一般的な社会常識や道徳観念を、三ヶ月で全て学び覚えるようなモノだ。
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