竜を求めて

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   その日から幼女アンナと青年エリアス・シェーファーの共同生活が始まった。  彼女は住み込みで竜師見習いとなった。  一つ、アンナが驚いた事があるとすれば、エリアスは竜師として一人前になったばかりの駆け出しにも関わらず、その自宅が豪勢であった事だ。  彼曰く、「前金があれば、竜師は駆け出しでも儲かるんだよ」との事らしい。  丸くなって引退した冒険者なんかは、現役時代に貯めた金を前金に竜師になる者も少なくないとか。……まあ、アンナから言わせれば、そもそも冒険者とは何ぞや? という話になるのだが。  その話は置いて……、エリアスは自立する前の修行時代に貰った給金をコツコツ貯金しており、一人立ちした時の為に、それなりの額の前金を用意していたっという訳だ。計画通り、というヤツである。  お陰で、三階建ての豪勢な母家と二階建ての離れに、精巧な彫刻と装飾が施された竜舎を所有していた。固定資産税でかなり持って行かれそうだが、幸いとしてこの都市にそのような税は課せられていない。  エリアス・シェーファーは、金持ち(リッチ)だった!  という事で、アンナはシェーファー邸の離れを居住スペースとして拝借する事になったのだった。  そこからは充実した毎日が過ぎていく。  竜に乗ることは出来ないし、単なるお手伝いに近い状態が三ヶ月程続いたが、エリアスはアンナの魔法の実力と竜達がアンナに敵対心を抱かない事から、本格的な竜師見習いとしての仕事をさせることにした。  正直に言うと、これは異例な事であった。  アンナの魔法のレベルが平均を遥かに超越する事もそうであるが、何より彼女は竜に恐れないし、竜達も彼女を格下として扱わない。  これは驚くべき事なのだ。  竜という生き物は人間には呼ばないものの、犬やイルカ以上に知能が高い。人間の言葉を確りと理解するほどには利口である。  それ故に、本来であれば幼子の言う事など聞くはずはないし、嘗めて掛かるのだが……竜達がアンナに対する態度はそれとは真逆のモノだった。  まるで、伝説クラスの歴戦の老竜、或いは竜に於ける最高の種である竜王に会った時のように、その(こうべ)を垂れるのだ。  
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