竜師のお仕事

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   日課である牛乳、朝食in牛乳、食後の牛乳、体操が終われば、アンナは誰よりも早く竜師としての仕事を始める。  元々、竜師の朝は早くはない。そもそも竜が起床する時間が少し遅いからだ。  竜とは変わった生き物で、変温動物と恒温動物の間のような存在だ。  日中の活動時間は恒温動物としての特性を持ち、夜間の休眠時間は変温動物の特性を見せる。つまり、朝起きるのが遅い。  時間で言えば、九時か十時くらいにならないと目覚めないし、動き出すのにも体温が暖まる時間が掛かる。その巨体ゆえ、大体三十分くらいの時間を要するのだ。  まあ、これは竜の種類にもよるので、一概には言えないのだが。竜の中には完全変温や逆に、完全恒温のモノも存在するし、夜行性の種もいる。  しかし、エリアスの竜舎には、そのような変わり種の竜種は居ない。  なので、アンナのように日の出前から起きる必要はない。竜達が起きる前に、竜舎の掃除を済ませるにしろ、そんなに早起きする必要性はない。  無いのだが、アンナは早起きをする。前世からの習慣であるし、健康にも良いので止めるつもりはない。幼女が朝っぱらから起きるのは、あまり健康的とは思えないが……。  その件は後の彼女の成長を見れば分かるだろうから置いておく。  やる事を終えたらアンナは肩甲骨辺りまで伸びた邪魔くさい金髪を適当にまとめると、左側でサイドテールを作って邪魔にならないように止める。  本当はバッサリ切り落として短髪にしたいのだが……、母が泣きながら異議を申し立ててきたので、一番楽なサイドテールにしている。  ちなみに、適当にサイドテールを作っているので、毎度サイドテールの位置が全然違ったりする。  それを勘違いされて、ファッションにはうるさい女の子っと見られている事を本人は未だ知らない。  それこそ、その事実を知った暁には、制止を無視して髪の毛をバッサリ切り捨てるだろう。  
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